インタビュー

著名人からのインタビュー

オリーブオイルの愛好家は世界中にいます。様々な分野の方に美味しいだけではない、その人気の理由と使い方を語っていただきます。

【第15回】
日本の家庭料理とオリーブオイルの相性を数字で実証!

味博士
AISSY株式会社代表取締役社長 
慶應義塾大学 共同研究員 鈴木隆一さん

オリーブオイルが健康に良く、日本の家庭料理にも合うことは広く知られてきています。できればそれを数字で証明したい。最近テレビでも時々お顔を拝見する味博士こと、鈴木隆一先生を訪ね、人工知能を搭載した味覚センサー「レオ」で、日本のなじみ深い料理とオリーブオイルの相性を検査していただきました。

味の相性は、足りない味を補完するということ

写真

― 実験の前に伺いたいのですが、先生、おいしいというのはどういうことなのでしょうか?

鈴木:
味覚センサーでは甘味、塩味、酸味、苦味、旨味を定量化し、五角形のグラフで表します。ただし、これが正五角形になるのがおいしいというわけではありません。これまでの実験から、味が多くても少なくても駄目で、このグラフの2つか3つが強い状態がおいしいということがわかりました。
おいしくするために、足りない部分を付け足す。それがうまくいけば、味の相性が良いということになります。
たとえば、餃子になぜ酢やしょうゆを足すのかというと、餃子自体には酸味や塩味が足りないので、これらが味を補完してくれているのです。刺身にしょうゆをかけることもこれと同じことです。

― これまでの実験で一番印象に残っている組み合わせがあれば教えてください。

鈴木:
餃子が一番印象的でした。タレを10種類以上作って、味覚センサー上でバランスの良いものを選び出したのですが、それは実験に参加した人たち、つまり人間の味覚と完全に一致しました。それまで、おいしさの研究というのはなかったので、これをきっかけにおいしさの研究を始めることになったという意味でもとても印象的でした。

和食に油と苦味を足すというのはトレンド

味博士にIOCのマリオ・ソリナス受賞オイル(ライプ1位とインテンスグリーン1位のオリーブオイル)をテイスティングしていただきました。

写真

写真

― 先生、今2種類のオリーブオイルをお試しいただきましたが、いかがでしたか?

鈴木:
テイスティングは初めてでした。ライプの方は、とてもクリアな香りですね。草や、フルーティな香りがバランスよく混ざっていて、いい香りですね。のどを通過するときの独特の辛味を体感できたのは面白い経験です。
インテンスグリーンの方は、強い草の香りが印象的です。苦味もかなり強いです。このくらい味が強ければ、味にも影響を及ぼすでしょうね。これは使い方によって、お料理に良いアクセントとなるのではないでしょうか。これまで体験したことのない味でしたので、とても興味深かったですね。

写真

― まずは、オイルをテイスティングしてご覧になった時点で、和食との相性をどう推測されますか?

鈴木:
油は敬遠されがちですが、三大栄養素のひとつで、たんぱく質、炭水化物とともにバランスよく取る必要があります。伝統的な和食は油っけがないので、それを補う意味でも、相性としてとてもバランスが良いのではないでしょうか。もちろん取りすぎは駄目ですけど。
すでに日本人はオリーブオイルと親しんでいますよね。私自身もバゲットにつけたり、サラダにはオリーブオイルを使っています。
インテンスの方ですが、特に面白いと思うのですよ。苦味がとても強いですよね。さらにグラスの香りが強い。一般的に、オイルと苦味は相反する部分があります。サラダにドレッシングをかけるのは苦味を抑制する効果があるからです。つまり、油と苦味は普通は共存しにくいのですが、それが共存しているというのは非常に面白いなと思いました。
苦味が悪者というわけではありません。コーヒーやビールなど、初めて口にした人はこんな苦いものと吐き出したといいます。ですが現在は重要な嗜好品です。
和食には苦味の強いものがなかったのです。ですが、最近は苦味のある味に慣れてきています。それ以上に、和食に油と苦味を足すというのはトレンドになっているのかなと思います。味覚がそのように変わってきていますよね。
料理というのはいくら好きなものでも飽きが来るのは否めません。普段の料理にアレンジを加えると、新鮮に感じ、おいしくなるんです。あまりに違う味だと警戒してしまいます。普段と少しだけ違う味にするとおいしいと感じます。そういう意味では日常の味に少しオリーブオイルをかけるのは味のアクセントとなっていいのではないでしょうか。味のバランス感がいいですね。

おいしさを感じやすくするのがオリーブオイルの役割

味覚センサー「レオ」で実験。
料理は、日本人に馴染みのあるものから選びました。
①焼き魚(鮭)
②味噌汁
③牛丼
いずれも、オリーブオイルをかけない状態のものとエキストラバージン・オリーブオイルをかけた状態のものを味覚センサーにかけました。

写真

写真

写真

グラフ④

グラフ⑤

グラフ⑥

グラフ⑦

― 味覚センサーの結果を見ていかがですか?

鈴木:
オリーブオイルをかけない場合とかけた場合の味の違いははっきり出ていますよ。
おいしいと感じる旨味とコクがオリーブオイルをかけることで明らかに増えています。

― どのくらいの数値で効果があると判断できるのでしょうか?

鈴木:
有意差は0.2以上です。肉に塩を少しかけるとおいしくなりますが、この差がちょうど0.2です。今回の実験では、旨味、コクともにオリーブオイルをかけた方が0.2以上数値が高くなっています。
甘味・旨味が上がるのは、オリーブオイルが加わることによって、味が味蕾に馴染みやすくなり、味の強度が上がって、甘味・旨味を感じやすくなっているわけです。 言い換えれば、おいしさを感じやすくするのがオリーブオイルの役割だったといえるのではないでしょうか。

― IOCでは、日本キャンペーンでオリーブオイルが健康に良いということと、オリーブオイルと和食の相性が良いことを強く訴えてきました。今日、味博士のセンサーで実際に数字的にも相性の良さがわかったことはとても有意義でした。
先生、ありがとうございました。

プロフィール

プロフィール

鈴木隆一さん/味博士
味覚研究家。AISSY株式会社代表取締役社長 兼 慶応義塾大学共同研究員。味覚を数値化できる味覚センサーを慶大と共同開発。味覚や食べ物の相性の研究を実施。メディアにも多数出演。近著に「日本人の味覚は世界一」
ブログ『味博士の研究所』で味覚に関するおもしろネタを発信中。

一覧ページへ戻る

PAGE UP