インタビュー

著名人からのインタビュー

オリーブオイルの愛好家は世界中にいます。様々な分野の方に美味しいだけではない、その人気の理由と使い方を語っていただきます。

【第7回】
健康に良い上に、おいしいオリーブオイル。子どもにも勧めたい食品です。

服部栄養料理研究会
服部津貴子会長

服部栄養料理研究会の会長を務め、服部栄養料理専門学校ではオリーブオイルのセミナーも主催。家庭で幼少期からオリーブオイルに親しみ、日本にオリーブオイルが広く根づく前からオリーブオイルの普及活動を続けてきた服部さんにお話を伺います。

知って広がるオリーブオイルの味わい方。

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― オリーブオイルとの出会いを教えてください。

服部:
私が子どもの頃、家で母(料理研究家の服部記代子氏)が使っていたんですよ。当時は、日本への輸入量はごくわずかだったようですが、料理にだけでなく、ボディにも(美容目的で)使っていました。ですから、オリーブオイルとのつき合いは本当に長いんです。家庭でも仕事でもずっと愛用してきましたが、25〜26年前からは、生産国からテイスターやカタドールというオリーブオイルの資格を持つ講師を招いて、服部栄養専門学校でオリーブオイルのテイスティングやセミナーを開いています。

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― セミナーではどういうことを学ぶのでしょうか?

服部:
オリーブオイルのテイスティングのほかに、料理とのマリアージュ、食文化全般も学びます。たとえばひとつのスモークサーモンを3つに切り分け、3種類のオリーブオイルを使ってマリアージュを体験します。ふだんの食事からではなかなか気づきにくいものですが、このようにして比べてみると、どのオリーブオイルがその食材に合うのか、相性の違いがはっきりと分かります。この間のセミナーでは麺つゆにオリーブオイルを少し加えて、香りや味わいの差を試してみましたが、オリーブオイルの種類による差は歴然としていました。オリーブオイルにはさまざまな香りや味わいがあるので、それぞれの特徴を知っておくと、よりおいしく、賢く、使いこなすことができるんですよ。食卓での話題も広がって、楽しみも増えますね。

― オリーブオイルと食材の相性を見極める簡単な方法はありますか?

服部:
テイスティングをするのが確実ですが、オリーブオイルと食材の相性についてはいろいろな意見があります。その中のひとつに、山で採れたオリーブで作られたオリーブオイルは、きのこやジビエなど山の食材と相性がよく、海沿いの土地のオリーブで作られたオリーブオイルは、魚に合うといわれています。厳密なテイスティングをしなくても、いろんな食材に試して味わってみることで楽しい発見があると思いますよ。

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― オリーブオイルと相性の良い食材を教えていただけますか?

服部:
先ほど麺つゆとオリーブオイルの話をしましたが、しょうゆとオリーブオイルは抜群に合います。刺し身を食べるときのしょうゆにも、わさびとともに、オリーブオイルをひとたらしするのもおすすめです。また、ツーンとした辛みが特徴の和辛子とも相性がいいんです。オリーブオイルと合わせることで、うまみが増して和辛子の辛みがマイルドになります。イタリアなどでは赤唐辛子とオリーブオイルを合わせますが、ピリッとした辛みとは大変相性が良く、お互いの良さを引き立て合うように思います。ドレッシングにしてサラダに合わせてもいいし、刺し身やカルパッチョなどにもよく合って、うまみが増します。召し上がった方はだいたい好きだとおっしゃいますから、ぜひ試してみてください。
服部栄養専門学校の若い学生に聞いても、オリーブオイルについては嫌いという声が上がってきません。このように、和食にオリーブオイルでコクと風味をプラスすることで、若い人の和食離れも防げるのではないかと思っているんですよ。

体に良いものを選んで食べる。食育は子どもだけのものではありません。

― オリーブオイルはおいしいだけでなく、健康にもいいと聞きます。

服部:
オリーブオイルは、悪玉コレステロールを減らして、善玉コレステロールを増やす働きがあるといわれています。オリーブの実だけを原料にして、余計な添加物がないオリーブオイルは、オリーブのジュースともいえる貴重なもの。オレンジジュースはオレンジを絞っただけのものですが、オリーブオイルはオリーブの実と種を絞っただけのものです。こういった質のいいオイルの特徴を知って、食生活に上手に取り入れることは、健康の面からもとても大事なことだと思います。

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― 食育の活動もされているそうですが、食育とはどういうものでしょうか?

服部:
心身の健康にとって「食」は大変重要です。体は食べたものでできています。子どもの頃から、体にいい食べ物やバランスのいい食べ方を知って実践していくことは、病気になりにくい体を作ることにもつながります。食事というのは、単にお腹がいっぱいになればいいということではないんですね。食育は、このほかにも不規則な食事の是正や、日本の伝統的な食文化の継承、食の安全、食料自給など幅広い事柄を含んでいますが、健全でバランスのいい食生活のために、まず食品を選ぶ目を持つということはとても大事なことです。その意味からも、オリーブオイルは幅広く勧められる食品です。また、子どもの頃から、本物の味を知っておくことも大切です。子どもの頃に覚えた味というのは、一生忘れないものですから、質の良いものを食べさせたいものです。
ただ、食育というと子どもだけのものだと思われがちですが、健康的なバランスのいい食生活は、成人になってからも重要なことに変わりはありません。肥満や生活習慣病を防ぐためにもなるので、子どもだけでなく、大人の方々にも注目していただきたいと思います。

オリーブオイルは手軽に使えて、和食にもよく合います。

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― オリーブオイルはしょうゆと相性が良いということは、和食にも取り入れられるのでしょうか?

服部:
和食とも相性がいいのがオリーブオイルの特徴といってもいいと思います。おみそ汁に少し加えると柔らかい味わいになります。風味を生かすために、食べる直前、お椀によそってからオリーブオイルを加えてください。納豆にも合います。納豆特有のにおいがおだやかになります。生食用のたらこの身をほぐし、オリーブオイルと万能ねぎの小口切りを混ぜるとマイルドで洗練された味になります。これは、おかずにも、酒のおつまみにも、カナッペにしてもいいですよ。
最近、気に入っているのは、長ねぎを焼き目がつくまでオーブンか網でよく焼いて、外側の皮一枚をむいてからオリーブオイルと塩だけ、またはオリーブオイルにしょうゆを合わせてシンプルに食べるのが最高です。ぜひ熱々を召し上がってください。
ほかにも、かぼちゃやいもの甘辛い煮物の煮上がりに少しかけたり、焼き魚やほうれん草のおひたしにかけるのもおいしいですよ。焼きいもにバターをのせて食べることがありますが、オリーブオイルにしてみると、また違ったおいしさがあります。オリーブオイルとはちみつを混ぜ、オレンジやりんごなどのフルーツにかけたものもおいしいですね。
お菓子やパンを作るときに、ショートニングなどの油脂の代わりにオリーブオイルを使うのもいい考えだと思います。

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― オリーブオイルを使う上で、気をつけたいことはありますか?

服部:
ぜひ新鮮なものを使っていただきたいですね。香りが魅力のひとつであるオリーブオイルですが、古くなると香りが落ちてしまいます。使うときに香りをかいでみて、いい状態かどうかを確認してみてください。

― 家庭で保存するときに気をつけることはありますか?

服部:
冷暗所で保存するのが基本です。直射日光が当たらないようにするだけでなく、私はなるべく電気照明も当たらないところに保管するようにしています。

― 食べ方で気をつけることはありますか?

服部:
オリーブオイルが体に良いのは間違いありませんが、だからといって摂りすぎは良くありません。ほかのオイルと熱量はほぼ変わりませんから(1g=9kcal)、カロリーオーバーにならないように。どんな食品にもいえることですが、バランスよく、食生活に取り入れるようにしてください。

プロフィール

プロフィール

服部津貴子会長/服部栄養料理研究会
1977年、服部流家元に就任。フランス、スイスに留学後、服部栄養専門学校理事校長代行を経て現在に至る。オリーブオイルに関しては、『オリーブオイルおいしい食卓』(共著・主婦と生活社)の著書もある。食育にも造詣が深く、『はじめての食育』(岩崎書店)、『中学生高校生のための「おいしい」食育講座』(同友館)、『Q&A季節の食育』(岩崎書店)など著書も多数。

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