インタビュー

著名人からのインタビュー

オリーブオイルの愛好家は世界中にいます。様々な分野の方に美味しいだけではない、その人気の理由と使い方を語っていただきます。

【第5回】
和食に使えないと決めつけるのはもったいない。
オリーブオイルこそ、和食に生きる素材!

『分とく山』(東京・南麻布)
総料理長
野崎洋光さん

東京・南麻布にある、和食の名店『分とく山』の総料理長、野崎洋光さん。料理のおいしさや繊細さはもちろんのこと、お話のおもしろさや知識の豊富さにもファンが多く、さまざまな媒体やイベント、講演などにもひっぱりだこです。
そんな野崎さんに、オリーブオイルと和食との関係やオリーブオイルの魅力について伺い、おすすめのレシピを教えていただきました。

料理の達人にとっても、 はじめはなじみのないオイルだった!

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「オリーブオイルとの出会いは、栄養士学校の時代かな?」と学生時代を思い出しながら、語りはじめてくれた野崎さん。当時はなじみのないオイルで、最初は「使いにくいな」と感じたこともあったのだそう。

「修業をはじめた当時の40年ほど前は、バジルペーストに大葉を使っている時代ですから(笑)。でも、そのころに親しくなったイタリアンのシェフたちなどの影響もあって、徐々に身近なオイルになっていきました。
日本でパンにオリーブオイルをつけて食べるようになったのは、ここ20年くらいの話ですよね。同じころ、親しいお客さまから『塩とオリーブオイルで、ふぐの刺身食べてみない?』なんて提案していただいたこともありました」

それから月日は流れ、今では日本で消費されるオリーブオイルの量も格段に増え、すっかり一般化。決して特別なオイルではなく、和食を作り続けてきている野崎さんの料理にもオリーブオイルは自然に使われるようになりました。
あえてオリーブオイルを使っていると謳うわけではなく、さりげなくだったり、隠し味としてだったり。それくらいオリーブオイルは、なじみのあるオイルへと変わってきたのです。

白菜でさえも、最近の野菜。和食には外来のものがたくさん使われてきた

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「今、いかにも和の素材だと思っている白菜。実はこれは明治8年に日本に入り、昭和に入ってから全国的に広まった野菜で、坂本龍馬は食べたことがなかったはずなんです。
砂糖も、今では和食にあたりまえに使われる調味料になっていますが、ずっと贅沢品で決して一般的に使われるものではありませんでした」

私たちが和食に欠かせないって思っている素材や調味料でさえも、決して伝統的なわけではないという例としてお話してくださった野崎さん。

「もしかしたら、白菜よりもオリーブオイルのほうが早くに日本にやってきていたかもしれないんですよ。1500年代に伝来していたという説も聞きます。
天ぷらにしても海外からやってきたものが形を変えて日本に定着し、今では、和食として認知されています。和食は、さまざまなものを受け入れることによって発展してきたのです」

つまり、海外から入ってきた調味料や素材がふつうに和食に使われるようになっていくのは、ぜんぜん不思議ではないということ。
だからこそ、野崎さんは、柔軟にオリーブオイルを和食にも取り入れてきました。
「結局は食べておいしいかどうかで、判断するだけです」

こく、香り、うまみ、つや、そして香り。オリーブオイルは和食で生きる

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野崎さんが今回、ご紹介してくれたオリーブオイルを使ったレシピは、〈鮃の香味縁起造り〉、〈豚肉とさつまいもの炊き込みごはん〉、そして、〈酥(そ)豆腐の小倉添え〉の3品。
どれも和食らしい逸品で、それぞれにオリーブオイルの魅力が生き、さらに合わせている素材のおいしさも引き出しています。

例えば、「鮃の香味縁起造り」。
鮃(ヒラメ)の薄造りにはたっぷりの薬味をのせて、フレッシュなオリーブオイルをかけ、オリーブオイルとオレンジの絞り汁などを合わせたたれにつけます。オリーブオイルのうまみとフレッシュな香りでぐっとごちそう度の上がる一皿です。
一方、「豚肉とさつまいもの炊き込みごはん」は、オリーブオイルがだし代わりになるので、だし要らず。そのうえ、ごはんが炊きあがってふたを開けた瞬間に花開く、オリーブオイルの香りがたまりません。

「スーパーのお刺身でもワンランク上の味になりますよ。オリーブオイルには、ほかの素材を邪魔しないうまみがあるので、だし代わりと言ってもいいと思います。もちろん、こくを足してくれたり、仕上がりのつやをよくしてくれる魅力も。
そして、おいしさって香りなんです。だから、香りよく炊きあげることも重要です。
オリーブオイルを使うときのコツは、ねぎなどの薬味をしっかり添えること。それだけで、ちゃんと和食になります」

そして、和のデザートにもオリーブオイル。
日本のチーズである酥(そ)をイメージしたデザートで、あんことオリーブオイル、大葉を合わせたソースをかけるのですが、日本の素材とオリーブオイルの絶品の相性に驚愕です。こちらも薬味である大葉がいいアクセントになり、和食のデザートらしさが生まれています。

「洋菓子に、抹茶などの和の素材を使うじゃないですか? それと同じで和菓子にオリーブオイル使うのは、なんの不思議もないですよ」

柔軟な発想の野崎さんのレシピの数々には、ヒントがいっぱい見つかります。とりあえず、オリーブオイルにしょうゆか、みそを合わせてみる。そこからはじめるとなじみやすいですよと、最後にアドバイスも。
今日から普段の和食の中にもオリーブオイルが活躍しそうです。

「鮃の香味縁起お造り」

【材料】

ヒラメ(刺身用) 1さく
白髪ねぎ 適量
にんじん 適量
きゅうり 適量
しょうが 適量
エキストラバージンオリーブオイル 大さじ1
(たれ)エキストラバージンオリーブオイル 大さじ2
(たれ)しょうゆ 大さじ3
(たれ)穀物酢(煮きったもの) 大さじ2
(たれ)オレンジの絞り汁 大さじ1

【作り方】

  • ヒラメは薄く削ぎ切りにし、皿に盛る。
  • にんじん、きゅうり、しょうがは薄く切り、松竹梅の型で抜く。白髪ねぎと合わせて水にさらす。
  • ヒラメの皿に、②の野菜の水けをきって盛り、オリーブオイルをかける。
  • たれの材料を合わせ、ヒラメをつけながらいただく。
「豚肉とさつまいもの炊き込みごはん」

【材料】

3合
豚バラの薄切り肉 120g
さつまいも 150g
わけぎ 1本
しょうが 適量
ごま 適量
黒こしょう 適量
(A)水 450ml
(A)薄口しょうゆ 45ml
(A)酒 45ml
(A)エキストラバージンオリーブオイル 45ml

【作り方】

  • 米は洗って水に15分ひたし、ざる上げて15分おく。
  • 豚肉は幅3cmに切る。熱湯にひたしてほぐすようして霜降りにし、洗ってから水けをきる。さつまいもはひと口大に切り、水にさらして水けをきる。わけぎは斜め薄切り、しょうがは細いせん切りにし、合わせて水にさらし、水けをきる。
  • 炊飯器に米、さつまいもを入れ、Aを加えて早炊きモードで炊く。炊きあがる直前に豚を入れる。
  • 炊きあがったごはんをざっくり混ぜ、器に盛る。わけぎ、しょうがをのせ、ごま、こしょうをふる。
「酥(そ)豆腐の小倉添え」

【材料】

エキストラバージンオリーブオイル 50ml
クリームチーズ 120g
卵液 120g
(2〜3個分)
砂糖 50g
牛乳 220g
はちみつ 大さじ1
(あんソース)あんこ 100g
(あんソース)大葉 5枚
(あんソース)エキストラバージンオリーブオイル 30ml

【作り方】

  • クリームチーズは湯せんにかけて柔らかくし、オリーブオイル、ほぐした卵液の順に加えて混ぜる。さらに砂糖、牛乳、はちみつを加えてこし、流し缶に入れる。
  • 湯気の立っている蒸し器に①を入れ、強火で3分蒸す。ふたに菜箸をはさんですきまを作り、弱火にしてさらに20分蒸す。粗熱が取れたら、冷蔵庫で冷やす。
  • 大葉をせん切りにし、あんソースのほかの材料と混ぜ合わせる。
  • ②を包丁で食べやすく切り、あんソースをのせる。

プロフィール

プロフィール

野崎洋光さん/『分とく山』(東京・南麻布)総料理長
1953年生まれ。素材を生かした、繊細で美しくおいしい料理の数々を提供する人気の料理人。家庭料理へのアイデアも豊富で、分かりやすく、そして実際に取り入れやすいレシピを雑誌、テレビなどで紹介。著書も多数あり、近著に『日本料理 前菜と組肴』(柴田書店)、『季節を楽しむおもてなしの食卓 』(エンターブレイン)など。

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