インタビュー

著名人からのインタビュー

オリーブオイルの愛好家は世界中にいます。様々な分野の方に美味しいだけではない、その人気の理由と使い方を語っていただきます。

【第3回】
オリーブオイル特有のポリフェノール、オレウロペインが効くメカニズム!

神戸女子大学
学術博士
家政学部 教授
狩野百合子先生

日本でオリーブオイルのポリフェノールを研究している先生を探し求め、狩野先生に辿りついた。神戸女子大学で学生とともにラットを使用し、ポリフェノールと健康の関連について実験している。先生の教室を訪ね、初めてポリフェノール自体の姿も見せていただいた。これまで知識として知っていてもなかなか検証に至らなかったオリーブオイルの健康効果に対するリアルな実験結果が先生のもとにある。ここで紹介いただけることに感謝したい。

重要なのは微量成分であるポリフェノール

写真

― 先生、そもそもオリーブオイルはなぜ身体にいいのでしょうか?

狩野:
オリーブオイルはオレイン酸を大量に含んでいるということに加え、エキストラバージン・オリーブオイル(以下、EVOO)は、微量成分であるクロロフィルや、ポリフェノールを多く含んでいます。これがオリーブオイルが他とは違う健康に良い明らかな理由です。

― ポリフェノールについて詳しく教えてください。まず、ポリフェノールを含む食品にはどのようなものがあるのでしょうか?

狩野:
良く知られているところでは、ワイン、カカオ(チョコレート、ココア)などがありますが、フルーツでは、レモンやリンゴ。紅茶、緑茶、ビールやコーヒー、大豆や大豆製品、小豆などにも多く含まれています。
その効能ですが、活性酸素を消去してくれる「抗酸化作用」があるということ。つまり、老化を防ぐということで、今一番注目されている成分ですね。

― 先生、ポリフェノールの働きをもっと詳しく知りたいのですが。

狩野:
私たちは学校でポリフェノールの実験をしています。ポリフェノールが体重や体脂肪に及ぼす影響を調べました。
まず、グラフ①を見てください。
ラットに高脂肪食を28日間与えた時の体重変化を、コーンオイル、精製オリーブオイル、EVOOで比較してみたものです。
EVOOが一番体重の上昇が少ないという結果が出ました。
グラフ②と③は、同様に体脂肪量を検査したものです。
体脂肪量の検査でも、EVOOが一番上昇を抑える効果があったわけです。
精製オリーブオイルもコーンオイルに比較すると良い効果が出ていますが、これはオレイン酸の影響でしょう。精製オリーブオイルには微量成分が含まれません。EVOOが精製オリーブオイルより効果が高いのは、ポリフェノールなどの微量成分の影響だと考えることができます。

グラフ①

グラフ②

グラフ③

― 先生、ポリフェノールにはたくさんの種類があるとおっしゃっていますが、オリーブオイルのポリフェノールの中で、最も注目したいポリフェノールは何でしょうか?

狩野:
オレウロペインですね。オリーブオイルにしかないものです。このグラフ④を見てください。オレウロペインのアドレナリンへの影響力が強いことが分かります。
アドレナリンは新陳代謝を促進する物質です。多く排泄されると新陳代謝が良くなり、痩せやすくなるということにつながります。
こちらの測定でもやはりEVOOの影響力が一番大きいという明らかな結果が得られました。投与量に比例して、アドレナリンの濃度が濃くなっています。

グラフ④

狩野:
つまり、オリーブオイルは新陳代謝を活発にし、元気で肥満を予防できるという効果がみられますが、微量成分を含むEVOOの方がよりその効果が大きいということです。
ただ、グリーンとピンクの違いを見てください。
グリーンがオレウロペイン(以下、OP)で、ピンクがオレウロペイン・アグリコン(OP-A)です。
OPはOP-Aに糖が結合した状態なのです。
摂取量を見てください。OPよりも、OP-Aの方が約1/10の量で効果が上がることが分かります。
OPはオリーブの実に多く含まれていて、オイルにするとOP-Aが多く含まれるようになります。つまり、オリーブを搾油し、オリーブオイルになることで、OPはOP-Aに変わり、より体内に吸収されやすくなっているわけです。そしてこのOP-Aですが、オリーブオイルのポリフェノールの中の約80%を占めます。
エキストラバージン・オリーブオイルをテイスティングすると喉を刺激するような辛味がありますね、あれがOP-Aの味です。オリーブオイルに健康と特有の風味をもたらす、オリーブオイルならではの成分ですね。

― オリーブがオイルになることで、偶然にもより栄養効果の高いアグリコンに変わるなんて、まさしくオリーブオイルは神様の恵みと呼ばれるにふさわしい食べ物なのですね。

身体に効くメカニズム

インタビュー1

インタビュー1

― オレウロペインが体に与えるメカニズムをまとめたいのですが。

狩野:
チャートAを見てください。
エキストラバージン・オリーブオイルのポリフェノールを取ると、 小腸でオレウロペイン・アグリコンとして吸収されて、血中へ送られます。 血中でノルアドレナリン(ノルアドレナリンは、アドレナリンとほぼ同じ働き)の分泌を促進します。
ここから、チャートの途中から左に分かれる方を見てください。体重減少のメカニズムです。
高脂肪食を摂取している場合は、 UCP1(褐色脂肪酸)が上昇し、たんぱく質を増やし、これにより体熱産生が高まり、 脂肪が燃焼します。
結果、血中TG(中性脂肪)が低下し、体重や体脂肪が減少します。

では、筋力をアップするためのメカニズムですが、血中でノルアドレナリンの分泌促進をするまでは同じです。
チャートの右側の方に行ってみましょう。 タンパク質を多くとっている場合、 血漿中のLH(ステロイドホルモン)が上昇し、 男性ホルモンである精巣中テストステロンが上昇、
さらに、ステロイドホルモンの分泌量がアップすることで、 タンパク質の代謝が促進され、筋肉量が増え、体力の増加につながります。
オリーブオイルの役目は潤滑油と同じですね。

ポリフェノールとの上手な付き合い方

写真

― 先生、ポリフェノールがアンチエイジングや新陳代謝を良くし、減量にも効果的ということが分かりました。オリーブオイルのポリフェノールと上手に付き合う方法を教えてください。
まず、この④のグラフのオレウロペイン・アグリコン1.14mgという量は、オリーブオイルにするとどのくらいの量になるのでしょうか?
アンチエイジングの効果も得られ、体重増加も防ぎ、最も健康的にオリーブオイルを摂取するためには、毎日どのくらいの量を取ればよいでしょうか?

狩野:
まず、グラフはラットを使った実験であることをご理解ください。ラットは人間の約1/30として考えますが、まだ人間での実験には至っていないのではっきりとは言えません。ご理解ください。
ただ、これだけはアドバイスできます。
摂取する油を、オリーブオイルに置き換えるということ。それを継続するということ。
1日に50gの油脂を摂った場合、他の油ならポリフェノールがついてこないけど、オリーブオイルなら、約7mgのポリフェノールを摂取できます。明らかに新陳代謝がよくなり、しかもオレイン酸と一緒に取るわけなので、気がついたら、健康的に体重が減ってきているということにつながると思います。地中海沿岸のオリーブオイルを摂取する国々では、生活習慣病が少なく長寿の方が多いです。太った方でも健康的でハツラツとしています。このオリーブオイルへの置き換えと継続が大切だと思います。

― ポリフェノールは、温度によって成分が変わることはありませんか?

狩野:
これまでの実験で、エキストラバージン・オリーブオイルのポリフェノールは30分間100度以上になると約半分程度に減少することがわかりました。ですからできるだけエキストラバージン・オリーブオイルは加熱せずに生のままで使ってください。
ただ、天ぷらをするくらいの高温になっても、約半分程度は残るということも実験でわかってきました。これはありがたいですね。

― 高温にしても半分は残るというのは新しい発見ですね。うれしいですね。
低温ではどうですか? オリーブオイルを冷蔵庫で保存してもいいか? という質問はよくあるのですが。

狩野:
冷蔵庫の中ではポリフェノールなどの微量成分があるため固まってしまいますが、変性することはありません。だから冷蔵庫で保存してはダメではないのですが、凝固と解凍を繰り返すと風味が落ちてきます。できるだけ温度変化の少ない冷暗所に保存するのが良いですね。
ただ、夏にかなり高温になるところに置くよりは、冷蔵庫の方がまだ良いです。その場合、オイルを急激に温めるのではなく徐々に室温に戻してから使ってください。

― 女性が一番気になるアンチエイジングと減量のために、一緒に食べるとより効果的な食材はありますでしょうか? 例えば、他のポリフェノールを含む食品、ワイン、レモン、リンゴや大豆製品などと取ると、様々なポリフェノールを取れて、効果的なのでしょうか?
あるいは、一緒に取らない方がいい食品はありますでしょうか?

狩野:
先ほどあげた、他のポリフェノールたっぷりの食品と一緒に食べるというのは、まさしく地中海料理なのです。これにトマトを足せばいうところなしです。地中海食が健康的で長寿であるというのは、実証されていますが、日常の食生活でポリフェノールをたくさん摂っているからに他なりません。
オリーブオイルと相性の良くないものですか? オリーブオイルは化粧品にも使われるほど安全なものです。一緒に食べてはいけないものは思いつきませんね。

ポリフェノール

― オリーブオイルは油なのでカロリーもちゃんとあります。この油としての高カロリーと、摂取することでの減量効果はどのように捉えれば良いでしょうか?

狩野: まず、油は高カロリーだから取らないということは、健康面、美容面でも間違いなくマイナスです。やめた方が良いです。オリーブオイルも油ですから、9kcal/1gのカロリーはあります。ですから、いつも使っている油にプラスするのではなく、いつも の油をオリーブオイルに置き換えるということが重要なのです。オリーブオイルなら、ポリフェノール効果で、新陳代謝を高めるので、太りにくい体にし、自然に健康的に痩せていく。ダイエットとしては理想的です。

― 先生、いろんな疑問が解けていきました。今日は、ありがとうございました。

プロフィール

プロフィール

狩野百合子先生/神戸女子大学 学術博士 家政学部 教授
専門分野は栄養化学。大阪市立大学大学院生活科学研究科後期博士課程栄養保健学専攻修了。現在の研究課題は、食品中の非栄養素の生体への新しい生理的機能の解明とその解析。オリーブオイルに関しては、クロロフィルやポリフェノールなどの微量成分を多く含むエキストラバージン・オリーブオイルについて、健康への有効な効果を調べる研究を行っている。

一覧ページへ戻る

PAGE UP